離婚調停で1番多い結果は「離婚」であり、復縁はなかなか難しいといわれています。
しかし、配偶者に離婚調停を申し立てられたからといって、必ずしも離婚に至るというわけではなく、「取り下げ」や「不成立」で終わるケースもあります。
調停を申し立てる人は、たいがい二人だけでは話し合うより、第三者を間に入れて何とか解決できないかと考えるでしょう。
そのため、離婚を避けて復縁を考えている方は、調停を申し立てられたからといってあきらめてはいけません。
離婚調停を効果的に活用して、離婚回避に導く行動するべきなのです。
この記事では、復縁をしたい人へ離婚調停とはどんなものでどんな活用法があるかなどを紹介しています。
この記事はこんな人に向けて書いています
- 離婚調停を申し立てられたら離婚しかないの?
- 離婚調停で復縁した割合は?
- 離婚調停をどう活用すれば復縁できるのか?
まずは「離婚調停」とは、どのようなものかを見ていきましょう。
「離婚調停」は夫婦どちらかが離婚を申し立てて話し合う場
裁判所で行う夫婦関係調整調停は、夫婦関係について話し合う場です。
夫婦関係調整調停には「離婚調停」と「円満調停」の2種類があり、どちらかを選択します。
離婚調停は、夫婦のどちらかが離婚の申し立てで成立しますが、必ず離婚に至るわけではありません。
子供の親権・財産分与・慰謝料・子供の養育費なども、「離婚調停」で調停委員や裁判官を交えて話し合いをして決められます。
当事者間で合意に至らず「調停不成立」になる場合や、協議離婚・話し合いで決着がつかない場合もあり、最終的に取り下げになるケースもあるのです。
離婚調停は、夫婦の本音をさらけ出して、夫婦にとって最善な結論を導き出す手続きです。
調停で初めてお互いの本音を知ることで、離婚を思いとどまり、もう一度やり直したいという気持ちが生まれてくる可能性もあります。
そして、割合は少ないですが、復縁にいたる夫婦もいるのは事実です。
離婚調停の所要時間は約2~3時間
離婚調停では、裁判官1名と調停委員2(男女1名ずつ)を介して、夫婦で話し合いをします。
裁判所に到着したら、夫婦がそれぞれの待合室で待機しますが、到着時刻をずらことで顔を合わさずに済みます。
調停室には調停委員2名が待機していて、呼ばれたら入室し話をして、終わったら再度待合室に戻るシステムです。
離婚調停の流れ
このように、離婚調停では、夫婦が交互に2回ずつ話しをする時間があり、所要時間は約2~3時間です。
最後に、第二回目の調停期日の日程を調整して、初回の調停は終了です。
第二回目の流れも初回と同様で、二回目で話がまとまらなかった場合は、第三回目の日程調整をします。
調停回数はそれぞれの夫婦で違いますが、裁判所が発表している司法統計では、調停回数が2回、調停期間は半年が一番多いです。
裁判所によっては、同席を求められることがありますが、どうしても顔を合わせたくない場合は、あらかじめ調停委員に伝えておきましょう
離婚調停当日に持っていくもの
離婚調停当日には、期日通知書という名の呼び出し状を持参します。
期日通知書には、注意事項が書いてあるので事前に読んでおきましょう。
- 期日通知書
- シャチハタでない印鑑
- 免許証などの身分証明証
- メモ帳
- 筆記用具
〈復縁したい場合〉調停離婚の効果的な活用法4選
復縁を目指している場合は、離婚調停を「夫婦関係修復のために話し合える良い機会」ととらえることが大切です。
以下に、調停離婚の効果的な活用法を、4つ紹介します。
〈活用法1〉調停委員を味方につける
離婚調停では、調停委員が夫婦それぞれの考え方を、代わりに相手に伝えてくれます。
調停委員はあくまでも中立な立場ですが、失礼な態度をとってしまうと、悪い印象を与えてしまいます。
調停ではできるだけ誠意を見せて、調停委員を味方につける意識で、離婚したくない理由を落ち着いて話しましょう。
離婚調停は必ずしも離婚だけが選択肢ではなく、話し合いの流れによっては円満にやり直したいという雰囲気になることがあります。
しかし、あくまでも申立人の離婚に対する熱意にもよりますが、、。
しかし、円満解決の流れになると、調停委員も円満調整に向かい話し合いを進めてくれるので、味方につける気持ちでいることが大切です。
〈活用法2〉事前に陳述書を提出する
離婚調停の前に、陳述書を提出しておくことと、調停委員に自分の考えをしっかりと伝えることができます。
陳述書とは、離婚調停で当事者が提出する書面であり、事実や自分の気持ちを書いたものです。
特に、形式が決まっているわけではなく、必ず提出する義務もありません。
離婚調停当日は時間が限られており、時間内にすべての考えを調停委員に理解してもらうのは困難です。
また、説明が下手で調停委員に伝わりずらいことがあるかもしれません。
陳述書を提出することで、調停委員に自分の考えを漏らさずに伝えることができます。
離婚調停で復縁をするためには、調停委員に自分の考えをしっかり理解してもらうことがとても大切なのです。
陳述書は、パソコン入力でかまいませんが、作成したら必ず記名押印してください。
「参考:弁護士法人浅野総合法律事務所:離婚調停における陳述書の活用と、有利に進めるための効果的な書き方」
〈活用法3〉自分が変わる努力を見せる
離婚調停では、自分の不満ばかりを言わず、「自分が改善するしかない」という強い意思を持ってのぞみましょう。
そして、自分が変わる努力をしていることを、誓約書や陳述書などに記載して、相手に渡すのがとても効果的です。
相手は、いま離婚調停を申し立てている立場です。
あなたが相手の不満や悪口を言うことで、相手はより離婚を決意を固くします。
離婚調停では、自分が不利になることは絶対に避けるべきです。
〈活用法4〉復縁の意志が伝わる行動をする
離婚調停で離婚を申し立てられた側は、離婚拒否を続ければ、離婚は成立しません。
しかし、復縁したいのであれば、ただ離婚調停を不成立で終わるだけでなく、復縁の合意を得たいところです。
ところが、復縁を希望しているのに、なぜか復縁の意思がないような行動をする人がいます。
例えば、相手に子供の学費を支払わない、相手に通帳を返還させる、荷物の整理をし始めるなどです。
それらの行動を申立人が見たら、どう思うのかわかりますよね?
「この人、本当に復縁したいと思っているのか?」と思い、離婚の意志をより固めてしまう可能性があります。
このような相手のに配慮のない行動は、復縁の意志が伝わらないどころか、相手に誤解を与えてしまうので注意してください。
〈復縁したい場合〉調停離婚で気をつけるポイント
復縁を意識した場合、調停離婚では次のポイントに気をつけましょう。
〈ポイント1〉離婚調停は必ず出席すること
復縁を望んでいるのであれば、離婚調停には必ず出席しましょう。
欠席してしまうと、相手に話し合う気がないと不信感を与えてしまい、悪影響しかありません。
むしろ、積極的に参加をして、話し合いたいという意思を見せることが大切です。
離婚調停は、仲介である調停委員に自分の思いを話せるいい機会なのですから。
離婚調停を、復縁のための夫婦の話し合いの場として、前向きにとらえましょう。
〈ポイント2〉離婚を勧めてくる調停委員への対応
離婚調停で調停委員に、「申立人である奥様の離婚意思は固いようですよ」的なことをいわれるかもしれません。
調停委員はあくまでの調停を成立させるために、中立的に申立人の話を伝えるのが仕事です。
しかし、離婚を望まない側からすると、これがちょっと厳しい言い方に聞こえてしまうことがあります。
離婚調停は復縁よりも離婚の方が圧倒的に多く、調停員が積極的に復縁を進めてくるケースは少ないのが現実。
そして、離婚調停を申し立てした相手は、調停手続きをしたからといって、本気で離婚したがっているのかもわかりませんよね?
もしかしたら、二人で話しても無駄だと感じて、調停で話し合いをしたくて、申し立てをした可能性もあります。
ただし、申し立て人が弁護士を立てている場合は、離婚の意志が強いと思われます。
調停はあくまでも当事者同士の話し合いの場なので、調停委員の言葉に拘束力はありません。
復縁のためには、それらを理解したうえで、調停委員の意見は受け入れる覚悟を持ちましょう。
そして、調停委員の指摘を否定せずに、逆に共感を得られるような態度で接してください。
離婚調停で復縁を目指すためには、調停委員に助けてもらう必要があることを忘れないことが大切です。
離婚調停で夫婦の問題点について改善を積み重ねることで、調停委員が申立人を説得してくれる可能性もありますから。
調停委員が、離婚を申し立てられた側の話をあまり聞いてくれないと感じたときは、「円満調停」を申し立てることができます。
〈ポイント3〉調停が不成立になった場合
離婚調停を重ねるなかで、調停委員が自分の考えをなかなか理解されない場合、離婚調停での復縁をあきらめなければなりません。
そして、調停は不成立だと判断する必要が出てきます。
離婚調停が不成立になると、申立人は「離婚訴訟」か「復縁」を選択しなくてはなりません。
しかし、申立人によっては「離婚訴訟」まで踏みこめず、しばらく様子を見ることがあります。
そのタイミングで、復縁できる可能性はまだありますし、「同居調停」で別居から同居に戻れるかもしれません。
〈ポイント4〉離婚調停「取下げ」でのリスク
復縁したい人の多くは、「離婚調停」を何とか取り下げてもらいたいと考えます。
「離婚調停」取り下げ後、ふたりが話し合える関係でいられたらいいですが、そうでない場合は、夫婦で話し合う機会さえ失うリスクがあります。
そうなると復縁はますます難しくなるため、「取り下げ」よりも「調停不成立」を経て、復縁について再度話し合うほうがいい場合もあるのです。
「調停不成立後」に申立人は、裁判か復縁を選びますが、裁判が高額な費用と時間がかかるため躊躇することも多々あります。
その間に、復縁について再度話し合う機会が持てれば、復縁のチャンスがあります。
「参考:探偵トーク・離婚調停不成立後に復縁の可能性は?【実例や復縁のポイントとは】」
離婚調停で復縁できた割合はおよそ2%前後
裁判所の公式サイトには、「司法統計」として調停の資料が掲載されています。
その中で令和2年「婚姻関係事件数ー終局区分別申立人及び申立ての趣旨別ー全家庭裁判所」を確認してみました。
以下は、令和2年離婚調停申立ての判決区分別件数と割合を、わかりやすく円グラフにしたものです。
「参考:裁判所・婚姻関係事件数ー終局区分別申立人及び申立ての趣旨別ー全家庭裁判所」
円グラフからわかること
※調停に代わる審判とは、調停離婚が不成立になり、家庭裁判所に離婚判断をゆだねる制度です。
離婚調停で復縁した割合
「婚姻継続」の内訳は、下表のとおり別居と同居があります。
「婚姻継続」のうち、「婚姻継続(同居)」は0.6%です。
また、申し立て「取り下げ」の内訳では上のように「円満同居」が1.1%です。
「同居」を復縁ととらえると、それらを足した約1.7%が離婚調停で復縁に至ったと考えられます。
さらに、取り下げの「その他・不詳」のなかにも、復縁にいたった夫婦がいると仮定すると、離婚調停ではおよそ2%前後は復縁できたと予想できます。
これらの数字でわかるように、離婚調停での復縁は簡単ではありません。
「手紙」が復縁のきっかけになることが多々ある!
復縁をしたい場合、「手紙」が復縁のきっかけになることが多々あります。
- 夫婦関係が悪化して口も利いてくれない
- 妻が実家に帰ってしまった
- 離婚調停を申し立てられて話し合いもできない
このような状況になると、妻はなかなか会ってはくれないでしょう。
しかし、「手紙」に自分に思いを書いて渡す手段だけは残っています。
ただし、手紙の中身によって、相手に嫌な感情を与えてしまう可能性もあるため慎重にしてましょう。
注意したいのは、弁護士に依頼している場合は、必ず弁護士を通して渡してもらうことです。
下記の記事を読むと、手紙が復縁のきっかけになり、有効なのがわかります。
「参考:多治見ききょう法律事務所・復縁・夫婦関係修復したい人の離婚調停対処法」
(5.復縁・夫婦関係修復のための離婚調停外の対策参照)
普段手紙を書かない人にとって、手紙ってちょっと敷居が高いですよね?
しかし、手紙ってメールやLINEよりも手軽ではないぶん、相手の心に響くものがあるんですよね?
- 相手に手紙を書いてみたい!
- 手紙なんか書いたことがないから不安
- 何を書けばいいのかわからない
このように、手紙に興味を持った方は、是非下の参考リンクの記事を一読してみてください。
下の記事を読むことで、誰にも知られずに離婚回避に向けて行動できます。
離婚調停で復縁した人の2つの成功事例
実際に復縁ができた事例をみてみると、復縁したい側が離婚調停での話し方を準備するなど、復縁に向けて行動をしていることが多いといいます。
ここからは、離婚調停で復縁に成功した人の事例を、いくつか紹介します。
事例①離婚調停「不成立後」に復縁成功
ある夫婦の奥さんが、子育てが原因で夫と揉めて、協議離婚が叶わず別居後、離婚調停を申し立てる。
しかし、最後まで夫は離婚を認めなかったため、離婚調停は「不成立」で終了。
調停委員からは「二人はまだやり直せるのでは?」と言われる。
その後、子どもから「お父さんに会いたい」と言われた奥さんは、夫に連絡して親子3人で食事に出かける。
食事の席で夫は奥さんに「もう一度やり直せないかな?」と話し、これをきっかけに復縁した。
①離婚調停で本音で話し合い価値観の違いに気づけた
②子育てでの意見の相違は、お互いが子どもの幸せを考えたためのものであった
「参考:弁護士保険の教科書・離婚調停で復縁の可能性はある!実例と復縁するためのポイント」
事例②離婚調停中に円満復縁に成功
ある日突然、妻が夫と乳幼児を置いて家を出る。
その後、妻は夫に対して子の「監護権」「子の引渡の仮処分と審判」「離婚調停」を申し立てた。
夫は始めは自分で対応していたが、裁判所に自分に主張が伝わらず、弁護士に依頼。
夫は弁護士を通して、妻が乳幼児を置いて家を出た経緯や、子どもと妻を2人にするのは適切でないことを裁判所に書面を提出する。
その後、裁判所は妻が出した「監護権」申し立てを保留。
妻の態度が次第に変化して、妻から復縁を希望してきた。
最終的には、円満に関係を修復する調停が成立する。
①夫が弁護士に依頼したことで、自分の主張が適切に裁判所に伝わった
②妻の家出は妻の衝動的な行動で、夫婦関係破綻の事情は見当たらなかった
③妻は一人で育児ができないことを裁判所に隠していた
④妻は夫の主張を聞き、冷静になれた
「参考:姉小路法律事務所・離婚解決事例5」
まとめ
復縁をしたい人の離婚調停の活用法や復縁成功者の割合、復縁成功者の事例などを紹介しました。
離婚調停は、夫婦どちらかが離婚を申し立てて話し合う場ですが、必ず離婚になるわけではありません。しかし、離婚調停で復縁できた割合は約2%前後であり、けっして高くはありません。
復縁を望む場合、自分が変わる努力を調停委員に見せて味方につけると、調停の流れが変わる可能性があります。
そして、事前に陳述書を提出して、復縁の意志が伝わる行動をしましょう。
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