離婚の際の離婚条件には必ず「財産分与」があり、そこで夫婦の財産は折半されます。
では、夫婦に借金がある場合は、どう解決すればいいのでしょうか?
結論として、財産分与では預貯金などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含まれます。
そのため、夫婦共通の借金は、財産と同じように夫婦で返済する義務があり、それを含めて財産分与を決めなければいけません。
この記事では、離婚後の借金はどちらに返済義務があるのかなど、財産分与も含めて詳しくまとめました。
この記事はこんな方に向けて書いています
- 借金があるけど離婚できるの?
- 離婚したら財産だけでなく借金も折半になるの?
- 住宅ローンはどうなるの?
借金も財産分与の対象!
財産分与には、預貯金や不動産などがありますが、借金のようなマイナスの財産も含まれます。
財産分与については、下記の記事がとても参考になります。
5.「協議離婚」であなたが準備しておきたいことを一度読んでみてください。
財産分与=〈プラスの財産〉ー〈マイナスの財産〉の残りを折半
財産分与を行う際は、プラスの財産はいくらか、マイナスの財産はいくらかを調べます。
預貯金などがプラスの財産になりますが、名義は関係ありません。
プラスの財産がマイナスの財産より多い場合は、単純に差し引いた残りの額を夫婦で折半することになります。
下記のように財産分与の割合は、夫婦で1/2ずつ折半
ただし、注意して欲しいのが、夫婦で協力して作った財産ではない場合は財産分与の対象外になります。
一方、マイナスの財産がプラスの財産より多い場合は、財産分与で分けられる財産はありません。
ただし、結婚生活のための住宅や車のローンは、夫婦の連帯責任があり財産分与の対象とみなされます。
夫婦のどちらかの結婚前の借金や、浪費やギャンブルなど個人的な理由で作った借金は、財産分与の対象外です。
また、借金があると養育費を払ってもらえないのでは?と心配する方が多いですが、借金があっても養育費を払う義務は無くなりません。
婚姻中に夫婦が共同で作り維持してきた借金は「共有財産」
夫婦の財産には、「共有財産」と「特有財産」の2種類があります。
ちなみに、「共有財産」は財産分与の対象になりますが、「特有財産」は財産分与の対象になりません。
以下に、それぞれ詳しくみていきましょう。
「共有財産」の借金は住宅・車・教育等ローンなど
「共有財産」は、婚姻中に夫婦が共同で作り、維持してきたものです。
具体的には、以下のようなものが「共有財産」です。
- 住宅ローン・教育ローン
- 生活のために借りたお金
- 医療費
- 車・バイクのローン
他にも、民法第761条に定められている「日常家事債務」も「共有財産」とみなされます。
「日常家事債務」は、例えば家賃の未払い金、クレジットカードの未払い金、水道光熱費の未払いなどです。
これらも夫婦の連帯責任とみなされます。
夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。
「引用:WIKIBOOKS(民法第761条)
また、株やFXなどは夫婦の共有財産を作るためであったり、夫婦の共有財産の預金を元手にしたものであれば財産分与になります。
「共有財産」はどちらの名義に関係なく、二人が協力して作り維持してきたかで判断されます。
また、相手が知らない間に作った借金でも、夫婦生活の役立てていた場合は財産分与の対象になる可能性があります。
「特有財産」の借金は結婚前の借金や親からの相続など
一方、「特有財産」は、婚姻前にどちらか一方が作った借金は、財産分与に対象にはなりません。
なぜなら、それは婚姻中の夫婦関係とは無関係に作られたものだからです。
具体的には、以下のようなものが「特有財産」です。
- 結婚前からの借金
- 親から相続した借金
- 結婚後ギャンブルや浪費で作った借金
- 個人的な趣味での借金
スムーズな財産分与をするには「借金」を把握して開示請求する
スムーズな財産分与をするために、必要なことは以下の3点です。
- 相手の借金がいくらあるのかを知ること
- 信用情報機関に、信用情報の開示請求を行う
- 弁護士へ相談すること
また、必要の応じて、以下のような信用情報機関に、信用情報の開示請求を行うこともできます。
ただし、開示請求には、印鑑登録証明や実印、相手の委任状、本人確認書類などが必要です。
- シー・アイ・シー(CIC)
- 日本信用情報機構(JICC)
- 全国銀行個人信用情報センター(KSC)
また、財産分与では、専門家的な知識が必要なため、弁護士に相談することをおすすめします。
特に、借金がある場合は「共有財産」になるのかならないのかの判断が難しく、財産分与の金額が差が出てしまいます。
また、借金の話し合いがうまくいかない場合は、「離婚調停」で調停委員を交えて話し合うのもありです。
財産分与合意後は離婚公正証書(離婚契約書)を必ず残すこと!
借金を含めて、財産分与が合意に至ったら、離婚公正証書(離婚契約書)を作成しましょう。
離婚公正証書は、離婚協議の結果を記載する文書です。
夫婦が離婚時に決めた財産分与や慰謝料、養育費など、金銭的な取り決めを公正証書に残します。
離婚公正証書は近くの公証役場で作成でき、原本は公証役場で保管するため、万が一紛失しても再交付が可能です。
ちなみに、公正証書作成費用は、財産分与や慰謝料、養育費などの金額に応じて変動します。
まとめ
この記事では、離婚後の借金は折半なのか?返済義務と財産分与について紹介しました。
借金は財産分与に含まれて、プラスの財産からマイナスの財産を差し引いた、残りの額を夫婦で1/2ずつ分けることが多いです。
借金には財産分与になるもんとならないものがあり、財産分与になるのが「共有財産」、ならないものが「特有財産」です。
借金がある場合、スムーズな財産分与をするために必要なのは、夫婦の借金がいくらあるのかを把握すること、信用情報機関に開示請求を行うことです。
また、財産分与では、対象になるならないの判断がとても難しいため、弁護士に相談することのがおすすめです。
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